大人女子白書 vol.6:イジワルな先輩からの8年越しの謝罪。結局、謝り逃げじゃん!!

主人公 エリナ。26歳。
大手町勤務。医療関連企業の広報部。字幕なしで映画を観るべく、朝活の英会話カフェを最近始めたばかり。

「もしかして、エリナちゃんかな??」

平日の深夜に送られて来た、インスタグラムのダイレクトメッセージ。大学時代のテニス部で一緒だった綾乃先輩からだった。

「先輩、ご無沙汰です〜♪♪ お元気ですか?」

(卒業してから一度も会ったことも連絡をとったこともなかったのに、急にどうしたんだろう?)

むしろ関わりたくなかったのに、と胸が塞がる。自分が返信したメッセージにつけた音符マークが、妙に白々しく見えた。

寝室のベッドに腰掛けて、スマホを片手に途方に暮れる。壁に掛けられた時計を見上げると、針は深夜の11時30分を指していた。

(急にどんなつもりか分からないけど、出来るだけ早く話を終わらせて、さっさと寝よう。)

たしか明日の英会話レッスンは、丸の内で7時15分からだ。6時すぎにはマンションを出なくては間に合わない。

「うん、相変わらずだよ〜。あのときは、色々ごめんね。一度謝りたくて。」

(あのときって、どのとき!?)

まさかの謝罪に、まるで頭を殴られたような衝撃をうけた。

私が大学1年で入部したテニス部には、すでに2学年上の綾乃先輩がお局として鎮座ましましていた。一緒に活動していたのは、まる一年くらいだっただろうか。そのわずか一年で、私は綾乃先輩という人を余すことなく思い知ることになる。

綾乃先輩は生真面目で努力家の、ある意味とても女性らしい人なのだ。女性らしいというのは、つまり、後輩男子の大失態よりも、後輩女子の些細な行動の方が当社比60%増量でアタリがキツかったということ。

ある日、OBがテニス合宿に顔を出したときのこと。

「声出して頑張ってるじゃん。そうゆうの大事だよ」と、私に声を掛けてくれたことがあった。素直に誉められて嬉しかったし、みんなの憧れでもあったOBがわざわざ声を掛けてくれたのも誇らしかった。

ところが、隣でその様子を見ていた綾乃先輩は、OBがいなくなった頃を見計らい、すかさず

「あ、ちょっと調子乗っちゃってるでしょ??」

と、わたしの膨らんだ気持ちに釘を刺すのを忘れない。

こんなことばかりの1年間だったわけで、思い当たる節がありすぎて、【あのとき】が具体的にどの出来事を指すのか分からないし、あえて聞きたくもないし、そもそも自覚があったわけですね。

「じつは今妊娠してて、来月いよいよ出産なんだ。生まれたら同期のみんなと遊びにおいで〜。みんなバリバリ働いてて忙しいと思うけど、もし良かったら是非〜(※^^※)」

「それは楽しみです! どうかお身体大事にしてくださいね! おやすみなさ〜い★」

独身彼氏なしの私には嫌がらせとしか読み取れず、あまりにいたたまれなくなって、就寝のあいさつで強制終了を決めた。

(謝罪しておきながら、謝罪相手にここまでの不快感を与える綾乃先輩、恐るべし・・・)

謝り逃げの気分の悪さに浸りながら、それを覆い隠すように頭まで毛布をかぶる。

生真面目な先輩のことだ。もしかしたら突然の謝罪メッセージは、出産前の厄落としのつもりだったのかもしれない。相変わらずの女らしいともいえる自分勝手さに溜め息が出た。

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