大人女子白書 vol.3:私史上最高彼氏を小悪魔にあっさり奪われました

主人公 美咲。24歳。
新宿勤務。生命保険会社の事務職。実家暮らし。趣味はネットショッピングと読書(といっても読むのはもっぱら少女漫画)。

人生最大の大失恋だ。

まさか。まさか。あんな子に彼氏を盗られるなんて。

智大と出会ったのは大学3年のゼミの教室。背が高くて、涼しげな目元が断然私のタイプだった。智大は笑うと眉毛が下がるから、なんだか困っているようにも見えて、その顔を見るたび私はキュンと胸を締め付けられた。

こんな優しい人と結婚できたらきっと幸せになれるんだろうなぁなんて、忙しいはずの卒論も片手間に甘やかな夢想にふける日々を過ごしていた。

必死の想いで就活して、どうにかこうにか生命保険会社から内定をもらい、就職したらしたで怒涛の1年が過ぎ去った頃。

「ごめん。本当にごめん。じつは俺、他に好きな子ができた。」

お互い仕事で忙しい中、ようやく会えた三週間ぶりのデートで、思いがけず突然の別れを切り出された。

「ウソ!? 別れたいってこと?嫌だよ。なんで? 私どこか悪いとこあった?」

気が付くと、みっともないくらいの涙で顔がグチャグチャになっていた。涙越しで見上げても、どんな顔をしているのか彼の表情はよくわからない。でも、きっと申し訳なさそうに眉を下げているに違いない。そう思ったら切なすぎて余計苦しくなった。

「そんな! 美咲は優しいよ! 悪いとこなんて全然ない!! 全部俺が悪いんだ。なんか、だんだん美咲のこと彼女って思えなくなってきて。なんつーか・・・母親?みたいな・・・」

だんだんと尻つぼみになっていく彼の告白に。

<!!!何それ?!!!>

私の涙は一瞬で乾いた。

大学のゼミ仲間から聞いた後のウワサによると、どうも私から乗り換えた女というのが、男を散々振り回すので有名な響子だった。

確かに、私は周りからよく世話焼きだと言われる。でもそれは喜んでもらいたかったから。あの困ったような笑顔を見たかったからだったのに。

<あっさり小悪魔に彼氏を盗られてしまった・・・>

後日、会社の仲の良いパートのおばちゃんに、響子のfacebookの写真を見せながら、事の顛末を打ち明けたら、

「どっちがいい女か歴然じゃないの! 美咲ちゃんの良さがわからないなんて、まったく馬鹿な男だね〜〜。女を見る目がないったら!! これじゃ絶対、将来苦労するわよ。」とバッサリ。

人生の先輩のあんまりの言いように笑ってしまった。

みんな外でランチを食べたがるから、昼休みにもかかわらず休憩室に人の姿はまばらだ。テーブルの上にぞんざいに置かれた誰かが持ち込んだのであろう雑誌をパラパラとめくる。

ふと、「夏に向けて素肌支度♥脱毛で新しい恋を探しにいこう!」のコピーが目に止まった。どうやら脱毛特集の記事らしい。

<失恋をバネに脱毛でも始めるか!>

我ながらちょっと無茶苦茶なこじ付けで笑えるけど、なんだか、前を向いていけそうな気がした。

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