大人女子白書 vol.1:友人の結婚を祝福できない私は友達失格ですか?

主人公 愛。27歳。
溜池山王勤務。事務職。実家暮らし。暇つぶしのスマホゲームが趣味といえば趣味。

友人のミカが結婚するという。お相手は大学時代から付き合っているK大院卒のエリートの彼。周囲の憧れの眼差しを一身にまとい、一層キラキラと輝くミカを私は眩しすぎて直視できない。

地元のおんなじ高校で、おんなじ3年間を過ごした私達だったはずなのに。一体どこに分かれ道があったのだろう。

黒髪のショートボブだったミカは、高校卒業後しばらくして会った時には、胸まで伸ばした栗色の髪をふわふわとなびかせていた。

東京の難関大学に見事合格した彼女は、それまで勉強一色だった日々を、まるで色鮮やかに塗り替えていくように変わっていった。努力家で、明るくて社交的な彼女が変身していく姿を、当時の私はどこか誇らしい気持ちで眺めていたものだった。

大学1年の夏休み、ミカに初めての彼ができた。私の家で開かれたお泊まり会で、酔っ払いながら彼のことが好きでたまらないと、その名前を連呼する姿が可笑しくて、皆お腹を抱えて笑った。

だけど、こうして9年が経った今、その彼がまさか弁護士になっていて、そしてめでたく結婚するという報告に心の底から祝福できない自分がいる。

私が平々凡々な日々をただ過ごしているうちに、遥か遠い存在になってしまった気がするのは何故だろう。胸の奥のザワザワが止まらない。

「結婚式の準備ってどれくらい前から始めるの? どんなことするの?」「私たちは一年くらい前から会場探ししたかな。休みのたんびにブライダルフェアとか回って。お料理の試食とか、ドレスの試着とか結構楽しいよ」

「やっぱりエステとか通うの? 式の前にこれはしとけみたいなヤツある?」「ドレス着るから一応脱毛は始めたよね。エステじゃなくて私はクリニックにした。ほら、もし肌赤くなった時とかそっちの方が安心じゃん」

友達内で一番乗りにゴールインしたミカは、久しぶりに集まった皆から質問攻めだ。

頬をバラ色に染めながらその一つひとつに答える彼女は、幸せを絵に描いたよう。

(ドレスのために脱毛かぁ)

そんな発想、私にはなかった。

「肌、すべすべなのって気分いいんだよね〜。結婚式とかなくってもさ、もっと早くやっておけば良かったな。」と口元をほころばせながらミカがつぶやくのが聞こえた。

<27歳 アラサー どう生きるのが正解?>

こんなキーワードでネット検索なんかかけても、答えなんか出ないってわかってる。

何が正解かは、自分の中にしか答えはないんだという事も。きっと何でもいいんだ。自分が変わるために、一歩踏み出すためにできること。

真夜中のベッドの中。スマホの光る画面に、<脱毛 クリニック>のキーワードを入れてみる。

正解のない答えをネットの海に問うよりも、よっぽど現実的な一歩になりそうだと期待を込めながら。

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