アーユルヴェーダと出会ったことで“自分の健康”を手に入れた筆者が、働く現代人の視点でアーユルヴェーダの魅力をお伝えするこの連載。
今回は、アーユルヴェーダサロン「ayus-lino」のセラピスト、田村佳都子さんのインタビュー後編をお届けします。
アーユルヴェーダのもっと奥深いところを知るために、発祥地とされるインド・スリランカでのトリートメントについて伺いました。最後には自宅でできる簡単ケアも教えてもらったので、ぜひ試してみてください!

多彩なアーユルヴェーダ施設が揃うインド・スリランカ


↑ 田村さんが訪ねた、スリランカにあるアーユルヴェーダ施設
── アーユルヴェーダ発祥地のインドや、アーユルヴェーダが根付いているスリランカには、どんな施設があるのですか?
アーユルヴェーダは世界三大伝統医学に数えられていて、インドやスリランカには今も治療を目的にした施設が残っています。一方、近年ではリゾートホテルなどで楽しめるリラクゼーション施設のようなところも増えていますね。
治療目的の施設の場合は、長期休暇が取れない日本人のために渡航前から問診をおこない、「健康診断のデータを持って来れば見てあげるよ」と言われたほど本格的なところもありました。向こうのアーユルヴェーダの先生たちは、健診データを見ることもできるんです。
リラクゼーション目的の施設には、1日でボディ、フェイシャル、ヘッド、シロダーラなど、すべてのマッサージが受けられるフルコースがありました。スチームバスやハーブ浴まで含まれていましたよ。日々の喧騒を離れ、豊かな自然に包まれてリラックスしたい人には良いと思います。
── 「治療目的の施設」でのトリートメントについて、詳しく教えてください。
私が訪れたスリランカの施設の場合ですが、行く前からスカイプで問診が始まりました。現地に着いた後は毎朝、先生と一緒に前日の施術の効果を振り返りながら進めていきました。
施術の内容は、アーユルヴェーダオイルでのマッサージをはじめ、食事制限、ハーブ薬の内服、浣腸など多岐に渡ります。滞在期間は10日ほどの人もいれば、3週間にのぼる人もいました。トリートメント方法も滞在期間もその人に合わせて、という感じですね。
── 病院のような役割を担っているんですね。現地の人は、西洋医学の病院とアーユルヴェーダ施設のどちらを利用するのですか?
スリランカ人に聞いたところ、時によって使い分けると言っていました。外傷がある人や症状の重い人は西洋医学の病院に行き、そこまで重症でない人はアーユルヴェーダ施設に通いながら治していくそうです。
反対に、西洋医学で治せない病気の時にアーユルヴェーダの病院を使うことがある、という話も聞いたことがあります。
薬局も、西洋医学の薬を扱う店とアーユルヴェーダ薬局の2種類がありましたよ。西洋医学の薬局には、鎮痛剤などの一般的な薬が置かれていて、アーユルヴェーダ薬局にはハーブやオイルを使ったものがありました。

↑ アーユルヴェーダ薬局の店内

↑ 薬棚には、ハーブ薬の瓶がずらり

↑ 西洋薬局の利用者も多いそう

アーユルヴェーダの国家資格、専門の医師も存在


↑ セラピストが、1人ひとりに合わせたハーブ薬を調合してくれる
── 治療目的の施設にいる「先生」とは、日本で言うセラピストのことですか?
向こうの施設にはアーユルヴェーダ専門の医師がおり、その先生のことを指します。セラピストもいますが、現地では看護師のような位置付けですね。
スリランカやインドには、西洋医学の大学とアーユルヴェーダの大学の両方があります。アーユルヴェーダの大学も、西洋医学の大学と同じように6年制になっていて、ドクターの国家資格が取れるんです。
私がお世話になった先生は、西洋医学の6年制の大学を卒業してから、アーユルヴェーダの6年制の大学を出たとおっしゃっていました。そのような医師も少なくないようです。
── 日本とインド・スリランカの違いとしては、治療目的の施設があるか否かという点でしょうか。
そうですね。日本にも医療としてのアーユルヴェーダを広めようとしている先生はいますが、まだ浸透しきっていないのが現状です。日本では西洋医学がなじんでいますし、法律的な問題や、現地と同じハーブを入手するのが難しいという課題もあるためです。
アーユルヴェーダには、病を改善する「治療」の側面と、病を防ぐ「予防医学」の側面があります。日本のサロンは予防医学の場、健康を保つためにメンテナンスする場として活用し、穏やかな状態が続くようにするのが良いと思います。

セラピストに聞いた今日からできる簡単ケア

── 最後は働く現代人に向けて、今日からできるお家ケアを教えてください。
働いている人は忙しいと思うので、すごく簡単なケア方法にしますね。
朝起きたら、換気をしてください。空気を入れ替えて部屋に風が流れると、「気」も流れます。また、窓を開けると陽の光を浴びるので、体が活動をはじめます。余裕があれば深呼吸もして、体に「起きた」というサインを送ってあげてください。
これがケア?と思われるかもしれませんが、「感覚で気持ちいい」と思うことを生活の中に多くするのがオススメです。今は情報化社会で、頭を使う時間が多くなっていますが、感じる力も大切にして欲しいです。
アーユルヴェーダで“自分の健康”を手に入れよう(4) 〜 不安を捨てて心も健康に〜でご紹介頂いたように、内側からあふれる幸せに気づく力を最大限に活用するコツです。
── スマホやPCで目を酷使している人も多いと思います。
そんな時は、目に光を入れない時間を作るのがおすすめです。目を閉じると、きっといろんな雑念が浮かぶでしょう。さっきまで観ていたテレビのこと、仕事の反省……そうしたものが消えるまで、目をつむったまま深呼吸を続けてください。
これをやってから寝ると、目の疲れが取れるだけでなく、睡眠も深くなりますよ。
── 体のケアをする上で気をつけるべきポイントを教えてください。
疲れや毒素を溜め「すぎない」ことです。溜めすぎると感覚が麻痺してきて、自分の体がどんな状態なのかさえわからなくなってしまうので。病気ではない、でも健康とは言えない、そんな人にこそ早めにアーユルヴェーダを取り入れてほしいです。
また、体だけではなく心の面でも、疲れやプレッシャーを溜め「すぎない」こと。お店にいらっしゃるお客様とは色々な話をしますが、そうして息抜きする時間、自分を客観視する時間を持つことも体のケアに大きく影響しています。
アーユルヴェーダサロンでは、病院に通っている人の施術も可能です。薬の服用と並行してトリートメントを受けることもできるで、心身を少しでも軽くするために軽い気持ちで来てほしいです。アーユルヴェーダは「よりよい人生を送るための智慧」なのですから。
***
インド・スリランカでは、アーユルヴェーダ施設が病院として機能しているそう。このことを初めて知った方も多いのでは? 海外旅行ツアーの一環で現地の施設を訪ねることもできるので、気になった方は行ってみると楽しいかもしれません。
さて、ここまで9回にわたってお送りしてきた本連載ですが、今回が最後となります。
ある時はドーシャチェック、またある時は心のあり方、そしてまたある時は食事や生活習慣のポイント……とさまざまな角度からご紹介してきました。アーユルヴェーダはそれだけ多面的であり、長い歴史、豊かな智慧があるということです。
私も含め、現代の人は忙しくて自分のケアにまで手が回らない、あるいは自分の不調に気づいてさえいない人が多いと感じます。
これまで紹介したすべての方法をおこなう必要はないので、できそうなもの、気になるものから始めてみてください。きっと「自分」の舵が取りやすくなるはずです。

田村佳都子さん
プロフィール


アーユルヴェーダサロンayus-lino(アユスリノ)代表、アーユルヴェーダセラピスト。2008年にアーユルヴェーダを学び、アーユルヴェーダ専門店で毎日、施術に明け暮れる日々を過ごした後、医療業界に転職。日本初上陸のアーユルヴェーダ オーガニック化粧品 LAKSHMIの日本導入を期に美容業界に戻り、ayus-linoを開店。アーユルヴェーダの叡智を元に、体からの気づきを改善し、心身ともにバランスよく、お客様が健康で幸せに生きていくケアを行っている。

アーユルヴェーダ
プライベートサロン
ayus-lino(アユスリノ)

HP  http://ayus-lino.link/
Facebook  https://www.facebook.com/ayus.lino/
東京都港区南青山5丁目11-17 青山KI TERRACE 102
半蔵門線・銀座線・千代田線「表参道」 B3出口から徒歩5分

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